ひとりライブハウス①はじめてのライブハウス
こんにちは、B子です。
ひとりフェスに続いて、ひとりライブハウスについて。
お気に入りのライブが私のもとには来ない~14歳の憂鬱~
私がはじめてライブハウスに行ったのは、たしか高校1年生の夏だったかと思います。
現在は関西在住ですが、当時は某東海地方の地方都市住まい。
NHK-FM「ミュージックスクエア」を毎日聞くようになったのが中学時代の14歳。
ボリューミーな2万字インタビューをコロコロコミック信者がごとくかぶりつきで読んでいた「ロッキンオンジャパン」でバンド背景や新譜のコンセプトは予習済み。
ただし気になるバンドのツアーは、いつも自宅のあった市を完全にスルーでした。
今では500人弱を収容する中規模ライブハウスができたおかげで、さまざまなバンドの各県ツアーの場所として選ばれることも多いようですが、当時は「メジャーデビューしているけれどオリコンチャート上位には入っていない邦ロックバンド」がライブをする「ちょうどいいキャパのライブハウス」がなかったのかもしれません。
とはいえ、徒歩と自転車とバスで全てが完結する暮らしを飛び出して、いきなり名古屋あたりまで足をのばすのは金銭的にもハードルが高く、自宅で悶々と音楽と向き合っていた日々。
生の音楽を聴けるのは、市内のローカルラジオ局で行われる公開収録と市民ホールで行われるコンサートくらいのものだったのでした。(なぜかそこでゴダイゴを観た。)
ついに巡ってきたチャンス
しかし転機が訪れました。
高校に進学すると同時に、アルバイトを始めたのです。
近所のファーストフード店でもらえる時給670円程×週3回3時間のバイト代は、ようやく手に入れた白黒液晶画面の携帯電話代を払うと、ほとんど残ってはいませんでしたが、それでも田舎の貧乏学生にレッドブルよりは大きな翼を授けてくれました。
そうだ、ライブハウスに行こう!
来ないならば、会いに行くんだ。
はじめてのひとりライブハウス
はじめて選んだイベントは音楽雑誌主催の複数バンドが出演するイベントでした。
各駅停車で延々と続く茶畑を突っ切り、1時間半近くかけてたどり着いたライブハウスの名は、「清水JAMJAMJAM」。
キャパ200-300人くらい。大きくはないが小さすぎもしない、いわゆる普通のライブハウスです。
しかし、なにぶん初めてのライブハウス。
ダイヤルアップのPCインターネット(哀愁)で調べてみても、分からないことや悩めることがたくさんあるうえに、頼れる相談相手はいません。
そう、鳴らない白黒携帯の電話帳に登録された友人数は少なく、やっぱり私はひとりだったのでした。
1.どんな服を着ていけばいいのか分からない。
とりあえず、駅ビルで買った(=一張羅だと思っている)TシャツとGパンで挑んでみます。
今なら誰も気にしていないと分かるんですが、その時はめっちゃ気にしました。
やがてライブに行き慣れてくると、白い大きめのTシャツに黒いピチッとしたパンツの同世代女子が多いことに気付きましたが(注※当時の田舎の話です。何だったんだろう…)、最後まであの黒パンをどこで入手しているのか分からぬまま時は過ぎました。
2.ライブハウスの入り口が怖い。
一人でも入りやすいマクドナルドの前面ガラス窓とは異質の、小さな入り口。
中の様子は伺えず、たくさん貼られたステッカーとポスター。躊躇しました。
3.いつライブハウスに入ったらよいのか分からない。
私はその日、張り切って(張り切りすぎて)チケットに書かれた「開場」の1時間以上前に着いたのですが、当然ながらライブハウスの周辺にお客さんの気配はありません。
厳密にナンバー順に整列入場し、争って最前を取りに行く種類のイベントでもないわけで、おとなしく従って「開場」直前、いっそ「開演」直前にふらっと向かえばいいものを。
そこは若さと青さというやつです。
そして、当初目論んでいた名古屋デビューより先にたどり着いた清水JAMJAMJAMの所在地は漫画「ちびまる子ちゃん」の舞台でもある、清水。
お気づきかもしれませんが、完全に、住んでいた場所よりもさらに田舎です。
ライブハウスの近くにお茶して待てる喫茶店くらいはあったのかもしれませんが、純情高校生がひとりで入れる雰囲気ではなかったのでしょう。
唯一駅前で発見した西友の店内をひたすらウロウロして時間をつぶしたことだけ、鮮明に覚えています。
4.ドリンク代という謎のお金をとられる。
無事ライブハウスに入った直後、最初の洗礼を受けることになります
それが「ドリンク代別途」制度。
(チケット代は払っているはずなのに、当然のように500円を追加徴収された挙句、普通サイズのウーロン茶と交換された…なんやねんこれ!)
ドリンク代の仕組みを知らなかった上、高校生なのでアルコールでないことの割高感が加わり、なかなかの衝撃。無知ゆえに騙されたのかと思いました。
5.しびれる両耳
おそらく、いや絶対に、そのライブが特別な音響設定だったというわけではありません。
それでも、スピーカーからのみではなく箱全体を震わす音の洪水が、初体験でした。
生まれてはじめて経験する音、音、音!!!
はじめてのライブハウスで思い出すのは、なんといってもこれなんです。
(※あとは前述の西友)
やばい。明日になってもまだ耳がじんじんしているかもしれない。
鼓膜への不安(大真面目)と、残響を抱えた耳、もちろん終演後の興奮もぶらさげて。
電車に揺られる帰り道。
車窓に広がるはずの茶畑はすっかり夜の闇に溶けて見て取ることはできなかったでしょう。
「耳のじんじん」は、この時だけではなくライブハウス2,3回目まで同じように起こっていましたが、慣れの問題なのか、その後は普通のライブで耳がじんじんすることなどすっかりなくなってしまいました。
あの頃も、今も。
はじめてひとりライブハウスでは、残念ながら友達はできませんでした。
(隣の女の子と、少し話した気はする。)
君のいない街のライブハウスで~~君が好きだと歌ってる♪
某ミュージシャンがいるのであれば、
友達のいない街のライブハウスで~~ひとりで楽しく踊っている♪
それがきっと私です。笑
今でも友達はできませんが、あの時から変わらず、ライブハウスは私にとっていつでもキラキラしている場所です。
ちなみに…
はじめてのひとりライブハウスで私がお目当てだったバンドはこちら。
ゴーイングとゴイステが同時に青春を歌い上げていたおセンチエモな時代でした。笑
切ないリズム、果てない夢を乗せて走ったー
(茶畑を鈍行で)
THE・アオハルの1ページです。
「清水JAMJAMJAM」は残念ながら2011年に閉店されたようです。
というわけで、もはや思い出を確かめに行く場所もなくなっちゃいましたが、パチンコ屋に入って大音量のジャラジャラ音が左右の鼓膜に響くときなんかに時々、はじめてのライブハウスで感じたあの途方もない興奮を思い出します。